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2025年6月 7日

 抽選                                                                  

 

 部屋のドアの前に扇風機が置いてあった。ためしにつけてみる。するとクーラーのような冷風が出た。暑くなったら使おうと思う。(それにしてもどういう仕組みになっているのだろう。)

 

 もう昼過ぎだ。今から学校に行かなければならない。僕は卒業した高校にまたもういちど通っている。今日は大幅に遅刻だ。

 

 今度進路指導の面談がある。

 

 けれど先生たちは僕をどう扱っていいのかわからないでいる。

 

 1階の居間には母がいた。「今日は学校はどうしたの?」

 

「今から行くよ。ってかそれ何?」

 

「韓国産フルーツの盛り合わせよ。これを今から送るの」

 

「送るって、どこに? それ、もらったんじゃなかったの?」

 

「これを韓国に送るのよ、そうすると抽選で葉書がもらえるの」

 

「えっ、葉書?」

 

「あんた、韓国に友達いるでしょ。そこに送るから、住所教えなさい」

 

「葉書もらってどうするの?」

 

「あのね、抽選だから必ずもらえるってわけじゃないのよ」

 

 

 

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