薔薇のその美しさ
事実として美しく、薔薇として美しい、という、2通りの美があり、美しくない薔薇はない、ならば、その、薔薇の美しさは、事実ではない。
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事実として美しく、薔薇として美しい、という、2通りの美があり、美しくない薔薇はない、ならば、その、薔薇の美しさは、事実ではない。
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今日も動物を見ていない。更に引き続き。そして変な夜だった。
今日は木曜日なのに、土曜日のような感じがする。でも明日が、日曜日のような感じはしない。
なんでだろうな。
明日が来るような感じがしない。
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幸せになってみて気づいたのだが、君は幸せになるために生きてきたわけではなかった。幸せになってみてわかったのだ。幸せになることと生きることは違う。幸せになろうとする人が、生きようとするのは間違い。生きようとする人が、幸せになろうとするのも、間違い。
どうでもいいことだ。たぶん、僕にとってもそう。僕は思う。君は幸せになれない、とわかっていても生きるだろう。幸せになれるとわかっていても、死ぬだろう。全部普通のことだ。
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謝るとき、僕は自分のことを考えている。僕は自分の、肩の荷を下ろしたくて謝る。相手のことを考えているわけではない。
この文章の中で今日、僕が考えているのは、そんな肩の荷のことだ。考えている「自分」の、その重さのことだ。
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そもそもの始まりでは、僕が疲れをつくった。僕の中に。でも疲れは、ある時点を過ぎると、僕をつくり始めた。疲れの中に。僕はつくり変えられていった。疲れに合わせて。疲れに相応しい、外面と内面を持つ僕へと。
人間は仕事をつくった。仕事は人間をつくる。いつの間にか。
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春は出来事ではない。桜の花が咲いて、それを見に行ったから春ということにはならない。
春は気分だ。つまりたとえば、昼食を部屋の中ではなく、テラスで食べたい気分になると、春だ。実際にどこで食べたかは、問題ではない。そうつまり。
終わらずに変わる季節と、変わらずに終わる出来事。冬が終わって、冬は気象条件であり、冬は出来事なのだと、僕は知った。
夏が始まれば、それも出来事なのだとわかる。
春は終わらない。気分のように。僕の気分のように。僕の気分は、変わる。
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同じ1日を、永遠に繰り返している。でも繰り返す僕は、少しずつ変化している。同じ出来事に、たぶん意識的に、違う感想を抱いたりして、やり過ごしている。
逆に違う1日が毎日つづいたら、僕は僕のまま、変わらないだろう。違う車に乗っても、同じように乗ってしまう。しかもそれは、無意識のうちに、なんだと思う。
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疑わない。疑うことは、信じないことではなくて、信じることの一部だから。
同じ理屈で、憎まない。憎しみは、幸福な愛の持つ、機能の一部だから。
もう愛さない。誰も憎むまい。
戦わない。平和なんて願わない。戦争は、平和の反対ではない、何よりも尊い平和というシステムの、一部だから。
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僕の身に起きた中で、いちばん良かったことは生まれてきたことで、僕の身に起きた中でいちばん悪かったことも、生まれてきたことで、どちらにしろそれはもう起きてしまったことで。
努力は自分のためにするものだと思っていたけど、僕の身に起きた良いことは全部幸運で、僕の身に起きた悪いことは全部悪運で、僕の努力は関係なかった気が今はする。
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考えるなフィール。僕は心である。感情的な人間、である。僕はちっぽけな気分に支配されているが、僕の気分は僕の、潜在意識のような何か、巨大で、得体の知れない悪夢に支配されている、らしい。
気分より僕の方がマシだ。それを思えば‥‥、気分がいいんじゃない。僕は気分よりいいのだ。
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1965年みたいな髪型をした若い男が、高校の制服を着ているのを見た朝、僕はありがとうを言った。練習である。
世界中にありがとうを言うことに決めた。幸せはありがとうの中にあると思うから。ごめんなさいという言葉は、逆に不幸の匂いがする。
僕から奪い、僕に暴力をふるう誰かに、感謝することは難しい。ごめんなさい、もうゆるしてくださいと、そこで謝ってしまうことは、怒り狂うことよりも容易い。
それが不幸である。不幸は安直な選択肢だ。
ごめんなさい、と謝りつづけてきた僕は、実のところ被害者なのだ、ため息である。加害者である親に、学校に、会社に、世界に謝るのは、もうやめだ。
僕は自ら与える、幸福な被害者になる。練習段階の今、何を与えるかはまだ決めていないが、それはきわめて「愛」に近いものになるだろう。
幸せは言葉だ。ありがとうを言う僕は、それを与えるのである。加害者にも愛を、奪う世界にも愛を、キリストになったつもりで。幸せは狂気だ。
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それは、つづいている間、我を忘れさせてくれたが、終わった途端、僕は自分が、どこの誰なのかを思い出し、悲しくなった。とても、夢に似ていたけど、目が覚めてからも僕は、すべてを記憶していて、体に、力が入らなかった。
僕の心の中には、言葉にできる部分が、ほんの少ししかない。僕の心の外でも、僕が言葉にできる出来事は、ほとんど起きていなくて、僕は無口だ。それはいつも、心の内側でもなければ、外側でもない、という、曖昧な場所に、積み重なる。
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「本当に」じゃなくて僕は、全部書きたいのだ。全部書くってことは、書き終えるってことで、それが本当に書くってことだと僕は思う。
やり終えること、全部。もうやらなくてもいい、ってこと、それが本当にやるってこと。
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、まだ書けるはずだ、まだ何か書けるはずだという悪夢が、書くことに僕を縛りつけている。書かないでいることはできる。しかし書き終えることができない、という悪夢だ。書き終わることはないという、縛りだ。
書き終わることさえできれば、僕は書ける。まだ何か書けるはずなのだ。
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「僕の目的」という件名のメールが来ていた。出会い系としては初めての件名だった。開くと本文もよく出来ていたが、それより何より、感嘆符のような形をした前衛的な疑問符が印象に残る。疑問符に驚いてしまったわけだ。
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