1、
仕事の関係で新しくお友達になった、某企業で英語日本語中国語の通訳として働く、北京の誉燃さん(仮名)。
事情で北京行きは無期延期になったのだがメールのやりとりは続いている。
親日家の中国人である26歳の彼女に、日本のどこが好きかと訊いてみると、簡潔に
「富士山と北海道と沖縄」
という返事が返ってきた。

(写真は本文と無関係です)
てっぺんと北と南のはじっこ、というわけで、これは何かの皮肉なのか、ユーモアのセンスなのか、素直な答なのか、考え込んでいる。
2、
北京に住む中国人のメールフレンド、誉燃さん(仮名)によると「人生の価値は何を得たかではなく、何を成し遂げたかで決まる」良く耳にするこの格言と同じ意味の言葉は彼の地にもあるとか。
それを日本語に直訳するとこうなるらしい。
「完壁な人生は何を持っているではなくその人は何なんですかっ」
☆
激アグレッシブで「いかにも」とは思うが、彼女の性格を考えるとギャグの可能性もある。
僕は、からかわれているだけかも知れない。
3、
僕の元カノは中国人だ。日本語に堪能だ。僕が知っているだけでも他に5か国語を話す。僕が知らないというだけでたぶんもっと喋れる。特にそのような専門の教育を受けたわけではない。南京の大学では教育学を専攻していた。外国語はいつの間にか、何となく喋れるようになったのだという。5か国語をいつの間にか何となく喋れるようになる奴などいない。いるとすれば天才だ。彼女は語学の天才だ。最近では古語に凝っている。日常会話の中で実験的に古い言い回しをして「あってる? こういう言い方ある?」と僕に質問してくる。「いや、そういう言い回しは、文法的におかしいよ、うん、そうそう、それが正しい用法だけどさ、でも今どきの若い人にそんなこと言っても絶対通じないよ‥‥」なんとか切り抜けていたのだがこの前、最後の最後になって天才にこんなことを訊かれ、混乱してしまった。
「よこしょう、って言葉あるかな? よこしょうになられる、て言い方、間違ってる?」
横床。
「ふつうにさ、横になられるでいいんじゃないの? なんでそんな古語チックにしたがるかな?」
「私の勝手じゃんケ。教えてよだから横床って言葉ございますか?」
☆
だからありそうな気がしたのだ。
んなもんねぇよ、とその場で断言できなかった自分がう〜ん情けない。
4、
僕の元カノは中国人だ。彼女にはお姉さんがひとり、タクシーの運転手をしているという弟がふたり、いる。つい最近ゲロったのだが妹までいるらしい。5人兄妹ということだ。
当然のことながらある疑問が浮かぶ。
人口を抑制するために中国がとっている、有名なあの政策はどこへ行ったのか。
「は? 何それ? あぁ、‥‥はいはいはい、昔むかし、ありましたね。今はもうなくなったの、歴史の闇にね、うん、消えた」
5、
誉燃さん(仮名)はブランドもののお洋服と化粧品が好きだ。たくさん買ってしまう。着る服の色は黄と紫が多いとか。若い彼女には似合うかも知れない。朝は毎朝家の近くの店で麺と「油条」を食べる。それは何? と訊いた。
「大豆でつくったミルクのような‥‥」
それは「豆乳」だと思う。
「そうけ?」
☆
ちなみに誉燃さん(仮名)にもお姉さんがひとりいると言う。元カノにしたのと同じ質問をぶつけてみた。
「知らない」
簡潔な答が返ってくる。
知らないことはないと思う。けれども彼女は怒っているわけではない。僕ももちろん、楽しんでいる。彼女にはいつかいつか会ってみたい、と思う。何のどこが好きか。そんなことじゃなしに聞きたい話もあるのだ。
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