世界を変えた100人の写真家、というサイトがある。
100 Photographs that Changed the World
まぁ予想通りの写真が載っているわけなんだけど。僕はこのロバート・キャパ的な世界が嫌いだというところから話を始めよう。


フォト・ジャーナリズムなど唯の欺瞞だと。

以上、話が終わってしまった。
☆
あまりに早く結論が出てしまったのでここからはもうひとりのロバートの話をする。
ロバート・フランク。写真家。
スイス生まれのユダヤ人。
‥‥以上、また話が終わってしまった。
☆
知らないという人がいたら嫌なのだそんな人に向けた説明的な話をしたくないのだ。
『アメリカ人』という写真集があまりにも好きなのだ。

キャパやユージン・スミスらが築き上げた「事実に依拠する」大文字の正義!の写真。
その確信に満ちたヒューマニスティックな粉飾を別のやりかたで否定してみせたのが『アメリカ人』であった。
「奴は風を撮ろうとしているのさ。でも風を見ることはできない」
よく言ったもので1958年の刊行当時、ロバート・フランクの写真を「見る」ことは誰にもできなかった。

☆
「またあるものは、その碑さえもない」
ここにはナチスドイツと戦ってはみたけれど名もなき兵士は何がなんだかわからないまま死んじゃったよあ〜あ、民主化をもとめて丸腰で戦車の前に立ちはだかってみましたみんな、見てるぅ?そう宇宙からはベトナムの戦火は見えても「国境線」は見えなかったんだよね、などというわかりやすい物語の幻想はない。

この世界には悲しみがある。
そしてその「悲しみ」を告発的に、まさにロバート・キャパ的に描き出すことは、より大きな欺瞞を呼び寄せてしまうだけだという困難がある。悲しみがある。

もはやそれと意識されることもなく日常の風景となった「悲しみ」。
マイノリティ。
政治的、人種的、宗教的な。
差別。偏見。無理解。
貧富の格差。
マクドナルド的に世界に輸出されたロバート・キャパふうの欺瞞。
それに対する輸入国側からの解答は、なんだったのか。
「私たちの夢みてた世界って、こんなんだっけ?」
☆
この写真集は曖昧な詩だった。どうとでも解釈できるノストラダムスの予言のような。でもそこにはこう書いてあった。このアメリカ原産の悲しみの事象は、いずれ世界を覆い尽くすだろう、と。
すべては最悪の形で的中したのだ。

観光地のガソリンスタンドに並べられた絵葉書。良く見ると中に1枚だけ核実験のきのこ雲を写したカードが紛れ込んでいる。
また真夜中のハイウェイ。砂漠の中メキシコの国境まで遠く繋がる真っ直ぐな道。
スキャンはしない。あまりにも好きな写真をここには載せない。
見て何も感じない、という読者がひとりでもいたら嫌だからだ。
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